上位争奪試験編

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     幻素学の授業は涼也たちが入学してから三度目だ。比率が非常に少ない科目であり、理由としては覚えることが少ないからである。  普通に生活していればなんとなく知る機会のある情報を復習するための授業という感じだ。 「通常、全体的な脳の完成は二十五歳とされている。しかし、幻素的な意味での脳は十二歳までに完成する。育った環境によって多少ずれが生じるがな。そして完成と言うことはその時点で君らが行使できる能力は決定しているということ」  なにも書かれていないノートにペンの先端をとんとんと当てながら、涼也は欠伸をする。隣に座っている金髪の女は真面目に授業を聞いているようだ。 「脳が完成された時点で記憶を固定させ、能力を発現しやすい状態にしてくれる装置を使用する。まあ、ここにいる全員が体験済みのことだがな。それが純正魔法と呼ばれている個人のオリジナル能力。そして、君たちの中にはいないと思うが、たまに自身の脳のデータを売る者がいる」  少しだけ教室がざわついた。自分の脳のデータを売るなどあり得ないと、そういう偏見が生徒たちの中にはある。 「売られたデータを解析し、情報化することで他人にもその魔法を継承させることが可能だ。非好意的なようだが、君たちが多数の魔法を行使できるのは先人たちが脳のデータを進んで差し出してくれたからだ、と言うより昔は強制的にデータを取られてた訳だが……」 「先生は脳のデータ売ったんですか!?」  前方のどっかの席からそんな声がした。涼也の耳からはすぐに抜けていった。 「今となっては脳のデータを売る者はよほどの貧乏人か、変人だけさ。もちろん私もそういうことに貢献してはいない」  売りつけた脳情報は一冊の教科書として軍に売りつけられる。それらは学生や軍人のもとに渡り、戦力強化へと繋がるのだ。  ちなみに本屋などにいっても売っていない。法律で一般的な入手手段が限られてしまっているのだ。  
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