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「おっと、鐘が鳴ったな。では授業を終わる。資格試験まであと二か月、幻素学は問題ないだろうが、魔法学のほうはしっかりな」
「礼、ありがとうございました」
授業終了の鐘が鳴り、去っていく教師に委員長が礼を呼びかける。ありゃっしたーとやる気のない礼が教室に響き渡り、それが済むとそれぞれが動き出す。
涼也は窓の外を見てぼーっとしていたが、不意に視線を感じ、そちらに顔を向けた。
「……」
「ど、どしたの? 急に私の方みて」
頬を赤くしてわたわたするレナン。しかし、涼也が見たのはその先。
(今の、転校生か? 一瞬、殺意みたいな黒い何かが感じられたけど)
窓際で一番後ろの涼也とは対照的に、廊下側一番後ろの席に座る転校生アリス=クレイバーから不穏なものを感じとった。
だが、涼也が顔を向けた時には、既に彼女は前を見ていて、視線は完全に消えていた。
「あ、雨ふってきた……」
前の席に座っている生徒がそう言った。
降り注ぐ雨粒が地面をたたく音。それがなんだかとても不吉なものに思えた。
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