上位争奪試験編

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      昨日は色々あったな、と泉条涼也は堅いベッドに横たわりながら、考えていた。珍しく早く起きたので、何もせずにぼーっとしていた。  やはり、早起きの要因としては、帰宅時のレナンとのやり取りなのだろう。涼也の顔は少しだけ熱を浮かべていた。 (あいつ、ほんとわからない奴だ。誰にでもああいうことすんのか?)  ああいうこと、とは、突然キスを迫ってきたことを指しているわけだが、心中ですら言葉を濁してしまうほどに、なんだかむずがゆい様子。  涼也が一人で悶々としていると、突然部屋の扉が開かれた。 「ちーっす! きたぜ! 涼也ちゃん!」 「お、おい……鍵占めてたはずだろ? どうやって入ってきたんだ」  ずかずかと部屋に入り込んできた来訪者を見て、涼也は呆れ果てた。仕方なく体を起こし、面と向かう。  その相手は、黒く染まったとげとげしい短髪と、両耳についた十字架を象った銀色のピアスが特徴の男だった。 「クロ……またマニア向けの魔法か」 「ま、特殊なルートで入手した教材でな。なんでも死体になってから四日目の誰かさんの脳を回収して、勝手に情報化したものらしいぜ。音もたてずに開錠するおもしろーい魔法だ!」 「死体の脳を情報化ってなんか危なそうだな。どこで手に入れたかは今更聞かねえけど、そういう魔法ばっか覚えてっとお前の頭がぶっ壊れんぞ」  ぶっ壊れるかどうかは実際のところわからない。しかし、なんとなく脳に悪影響を及ぼしそうなものだ。それなのに、涼也の目の前にいるクロと呼ばれた男は面白半分でそういった魔法を習得したがる。  
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