上位争奪試験編

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  「資格試験いつだっけ?」 「最速で二か月後だな」  魔導式軍隊。齢十五から取得できる「魔導士」の資格があれば入隊可能。彼らの通う学園は魔導軍本部直轄の、言わば魔導軍へ入隊するための学園である。  故に魔導士の資格を取ることは卒業までの絶対条件だ。 「今日も頑張るか」 「無難にほどほどに怪我しない程度に頑張ろー!」 「そんな心構えだから、クラスでも最低ランクの成績なんだよ」 「座学じゃ上の方だしー! 寧ろそれに関しちゃ涼也のが心配だしー!」 「ぐ……言ってはならんことを」  互いに目から火花を飛ばしてる風ににらみ合っていると、遠くから鐘の音が聞こえてきた。直後、涼也はレナンに足払いをかましてから地面を強く蹴った。  地面に倒れ伏したレナンをそのままに、涼也はすさまじい速度で走り去っていった。 「やっべぇ! 遅刻する!」  全速力で駆けながら、鐘の音を数える。五秒間隔で一つ鐘が鳴る。八回鳴れば、始業開始。 (あと六回……間に合うか!?)  魔法が日常となってからは、やはり肉体を強化する魔法も存在し、つまり今、涼也は自動車より速く走っている。  前を見れば既に校舎が見える。見えてから次の鐘が鳴った頃に、校門を走り抜けていた。 (あと三回!)  学校指定の革靴は走りづらいため、昇降口に入る手前で、自分のクラスの窓に向けて放り投げた。「いてぇ!」という声が聞こえた気がするが涼也は気にしなかった。  階段を跳躍で軽々と越えて、また越えて、残す鐘が二回になった時には彼の教室がある三階の廊下に到着していた。 「よし! いけた!」  最後の鐘が鳴る直前で、教室に足を踏み入れ、素早く着席。涼也の席は窓際の一番後ろという学生の大好きな席であった。  最後の鐘が鳴り終わり、同時に教官が現れる。なんとか遅刻を免れた涼也は息を整えながら窓の外を見た。  先ほどまで一緒に登校していた金髪の少女が泣きながら校庭を走っている姿を見て、少なからず罪悪感を感じた。  そして、これから彼女に起こることを想像して、同情するしかなかった。       
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