序章

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 新大陸と黄金境の発見にガリア全土が沸き、ガリア皇帝グレン・ハロルドは即座に新大陸との交流を深めることを決定した。ガリアと新大陸の交流は年を追うごとに活発化し、五年後にはインティ王国との間に友好条約を締結。そして発見の一〇年後には新大陸の北部にガリア人入植地ポートタウンが完成する。これは友好条約を締結したインティ側への配慮であり、彼らの支配地域でない北部での建設となった。  新大陸の気候は北部と南部で異なっており、インティの王国がある南部は熱帯気候に属しているが、入植地を築いた北部は乾燥帯となっており、草原や荒野などが広がっている。しかし、探索によってこの地には金や銀の他、鉄、銅、亜鉛、鈴、鉛、硫黄、石炭などの様々な地下資源が眠っていることが判明したため、ガリア側はさらに一〇年で入植地の範囲を拡大させた。  北部にも先住民たちがいた。彼らはインティのように王国は築かず、各部族ごと各地域に根付き、生活を営んでいた。 当初はしばしば彼らと衝突していたガリア帝国であるが、グスタフ事件以降、入植地を拡大するつど、彼らとの間に交渉を持ち、穏便に勢力が拡大できるよう配慮するようになった。当時、ガリア帝国はガルシア大帝国との間で大規模ないくさを展開しており、新大陸は物資調達の重要な拠点であった。そのため、先住民との争いはなんとしても避けたかったのだ。  デボーラの戦いに次ぐガルシアとの戦いを、ガリアでは第二次ガルシア戦役と呼ぶ。大陸暦一五一一年、デボーラの戦いで失った領土回復とガリアへの復讐を誓ったガルシア軍七五万が国境を突破し、ガリア帝国に攻め込んできた。
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