序章

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迎え討つガリア軍三〇万を率いるはあのクオレ・デュナミスであり、彼は元帥にまで昇進していた。凄まじい勢いで侵攻を続けるガルシア軍に対し、クオレは巧みな戦術で応戦し、徹底した局地戦に持ち込んでガルシア軍を苦しめた。敵軍が有する数の利を自軍が有する地の利によって相殺し、かつ銃や大砲などの武器によって戦いを有利に進めた。ガリア軍の徹底した消耗戦を支えたのは、新大陸からの膨大な物資の援助であった。もし、新大陸からの援助がなければ、ガリア軍はガルシア軍に大敗を喫していたかも知れない。  第二次ガルシア戦役はのべ一年半に渡って続き、ガルシア軍は二〇万人近い死傷者を出して撤退を余儀なくされた。ガリア側も巨大な損害を被ったが、新大陸からの物資がガリア側の急回復を手助けした。これ以後、ガリア帝国は新大陸への依存を強め、入植地のさらなる拡大政策をとることとなる。  そして新大陸発見後、わずか二〇年でガリア人入植地は本国の四分の一にまで拡大し、人口も三七万五千人にまで増加した。だが、新大陸はまだまだ広大であり、未だその全容が掴めていなかった。そこでガリア帝国は、新大陸の全容を解明すべく、帝国大学教授のハミルトン・シェラを長とする総勢一二〇人からなる大規模な調査隊を組織し、新大陸へ派遣。入植地の外へと送りだした。  その調査隊が消息を絶ったという報せが帝都に届いたのは、第三次ガルシア戦役でガリア軍が大敗を喫した一ヶ月後のことであった。
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