第1章

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 宝くじが当たったわけでもない。  ただ、目の前にポンと置かれた上質な紙は確かに金であった。  数えたわけではない、ただ、一億円をやると言われてくれるならくれと答えてこれだから人生何があるかわからない。  君はこれでどうするのだと問われた。  どうする、か。  持っていたって税として大半を国に搾取されるだけだが、――余った金で何が出来るんだろうか。  ――好きなアニメを作る制作会社に注いでしまうのもいい。  例えば、人間を長生きさせる研究をしている機関に捧げてしまうのもいい。  考えているうちに、どこかわくわくしてきた。  どうしようもない世界で平凡に生きて特に誰にも影響を与えない自分に与えられた、誰かに捧げることの出来る何かが今ここにある。  ただし金は有限だ、全てを失ってしまっては何も出来なくなる。  まずはこれを元手に出来る事から始めようか。
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