第五十章

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「えっと…私、今日ね、急に非番になってね」 「そうなんだ」 「…総司は…何してたの…?」 「………」 なかなか答えない沖田に、いつもなら「どうしたの?」と声をかけれたはず。 しかし今はそれを言わなくても、何かあったのだという事がはっきりと分かる。 その何かを、知るのが怖い… だから涼花も、沖田と同じように黙り込んだ。 しかし、その沈黙も長くは続かず、 「山南さんを迎えに行くんだ」 と、沖田は言った。 「…山南さん?」 涼花がそう聞き返すと、沖田はゆっくりと涼花の方を見て 「山南さん、脱走したんだ」 なんとも言えない、苦しそうな笑顔を作って、そう言った。
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