第一章

10/13
前へ
/745ページ
次へ
「理恵ちゃんの事は、大好きになれたのになぁ」 遠くを見つめながらつぶやいた。 理恵は、涼花にとって唯一無二の存在なのだ。 ずかずかと人の心に入ってくる理恵は、迷惑な時もあるが、涼花にとっては救いになったのである。 そして、そんな理恵と出会わせてくれたのは、担任の教師。 そのせいか、涼花は担任に少し特別な感情を持っていた。 それを感じた理恵は「好きなんでしょ」とからかうのだ。 「来世では私が男で産まれて、 涼花を見つけて結婚してあげるね」 「はは、来世かぁ。生まれ変わりとか、 そんなのがもし本当にあったら… 理恵ちゃん、その時はよろしくお願いします」 そして二人は顔を見合わせ笑った。 毎日、こんな楽しい時間が続くのだ。 学校に来れば理恵が居て、放課後の約束をし、くだらない話しで笑いあう。 それが、当たり前だと思っていた。
/745ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加