第一章

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――――――――― ―――――― (なんで急いでる時に限って、私は忘れ物するのかなぁ…) 小走りで教室まで走った涼花は、机の中に入っていた携帯を取り出した。 「あったあった。早く戻らなきゃ理恵ちゃんに怒られる…」 今日は放課後、理恵の買い物に付き合う事になっていた。 なんでも、大切な人にプレゼントを贈るので、選ぶのを手伝ってほしいとか。 廊下に出て、また小走りで走り出そうとした時 「柳さん」 と、呼び止める声が聞こえた。 「…あ、先生」 「廊下を走ってはいけませんよ」 「あ、その、ごめんなさい」 「忘れ物でもして、佐藤さんを待たせているのでしょう」 佐藤とは理恵の事である。 クスクスと笑う担任に「よくわかりましたね」と言いながら、涼花が戻ってくるのを待つ理恵の姿が浮かんだ。
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