127人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――――――
――――――
(なんで急いでる時に限って、私は忘れ物するのかなぁ…)
小走りで教室まで走った涼花は、机の中に入っていた携帯を取り出した。
「あったあった。早く戻らなきゃ理恵ちゃんに怒られる…」
今日は放課後、理恵の買い物に付き合う事になっていた。
なんでも、大切な人にプレゼントを贈るので、選ぶのを手伝ってほしいとか。
廊下に出て、また小走りで走り出そうとした時
「柳さん」
と、呼び止める声が聞こえた。
「…あ、先生」
「廊下を走ってはいけませんよ」
「あ、その、ごめんなさい」
「忘れ物でもして、佐藤さんを待たせているのでしょう」
佐藤とは理恵の事である。
クスクスと笑う担任に「よくわかりましたね」と言いながら、涼花が戻ってくるのを待つ理恵の姿が浮かんだ。
最初のコメントを投稿しよう!