第四十八章

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土方の自室に戻ると、暫くは沈黙が続いた。 涼花が布団を敷き始めた時に、 「お前の事を巻き込む事になるが、聞いてほしい事がある」 そう土方は言った。 黙って土方の方を向くと、布団を敷きながらで良いから話を聞いてほしいと言うので、それもなかなか難しいなと思いつつも、言われた通り体を動かしながら耳を傾けた。 「伊東は、俺が邪魔らしい」 その言葉から始まった土方の話。 「伊東はきっと、新撰組を乗っ取る気でいる」 「…乗っ取る?」 「まぁ、難しい話は良い。とりあえず、お前には気をつけておいてほしい。それが伝わればいいから」 「気をつけるって…?」 今回、七里から襲われた理由は、どうも昔からの因縁のせいではなく、誰かからの頼みもあったのではないか。 そして七里に土方を消すよう頼んだのは、伊東なのではないかと思う。 土方がそう話すと、なぜそう思うのかと涼花は聞いた。 それに対して土方は、"勘"としか言わない。 「難しい事は、お前は分からなくていい。ただ、誰が危険で、誰が味方なのか、くらいの事は分かっていてほしい」 「それで、伊東さんは危険という事ですか」 「俺を潰したいやつは、お前に目をつけるかもしれないだろう」
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