第四十八章

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「近頃、伊東は接触してきてないか」 と、土方が尋ねると 「そう言えば」 涼花は昨日の事を話した。 ハルさんは、どうして斬られたんでしょうね そう言われ、怒りを感じたと。 「そうか」 と言いながら、話を聞く土方だが、心中穏やかではない。 やはり、伊東は何か企んでいるし、涼花を人質にして自分を試しているようにしか思えない。 (こう悩んでたら、伊東の思う壺だな) とも思う。 涼花が傷つけられるのも避けたい、自分の心が乱されるのも避けたい。 だから、どうしたらいいかと悩む。 さらにこうして土方が悩み、迷い、心の余裕が無くなる事が、伊東の目的だとしたら、土方の言うように伊東の思う壺。 「元々、俺もお前も伊東が嫌いだ。今まで通り避けて、今まで以上に気をつけるように」 まるで隊士に語りかけるような言い方をする土方に、涼花は少し疑問を持つ。 土方が言いたい事が、いまいち伝わらないのだ。 それもそのはず、土方は言葉を選びながら、涼花を傷つける話は避け、慎重に話したのだから。
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