第四十九章

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「え?移転?」 「うん、狭くなってきたからね、ここも」 ある日、沖田から突然聞かされたのは、屯所の移転話。 近頃ずっと、屯所内では新撰組幹部達の間で屯所の移転話が出ていたが、それを涼花は知らなかった。 「へぇ、どこになるの?」 「んー、まだハッキリとは決まってないみたい」 そう言う沖田だが、移転先がある程度決まったから、こうして涼花に話しているのだ。 言葉を濁したのは、話が順調には進んでいなかったから… 移転の理由は簡単で、先程沖田が涼花に話した通り、隊士が増え狭くなったからである。 そして、沖田が濁した移転先の候補に上がっているのが、西本願寺。 この、西本願寺、 提案したのは土方である。 隊士が収まる広さはもちろん、西本願寺は勤王思想が強い。長州との親交もある。 そこを、屯所に構えれば… 「一石二鳥だろう。広さもあって、"向こう"との関わりを切らせる事ができれば」 と、いうわけである。
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