第四十九章

3/8
前へ
/745ページ
次へ
今の新撰組としてその考えは当然の事の様に思えるが… この話に猛反発したのは、山南。 元々勤王思想があった山南だが、反発する理由はそれだけではない。 歴史ある、由緒正しき寺院を、血に汚れた自分たちの屯所にする必要がどこにある。 探せば移転先など、他にいくらでもあるはず… そう説得しても、土方などは全くその意見を聞き入れる気は無さそうだった。 それに、山南は思うのだ。 新撰組の当初の目的は…攘夷。 やはり、そこが引っかかる。 当初の目的は何処へやら、今では幕府の為の組織になり、同じ攘夷を掲げた長州の者たちと国内で争ってどうするのだ、と思う。 別に、尊攘の過激な行動に賛成している訳ではないし、倒幕を目指しているわけではない。 かと言って今の新撰組は…… 山南自身、この時期自分の気持ちが自分でも説明がつかない程、悩んでいた。
/745ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加