第四十九章

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総長とは名ばかりで、仕事と言えば近藤などの相談役… 表立った舞台に立つ事も少なく、土方からはしきりに屯所の留守を頼まれた。 よく考えてみれば、総長という位置に山南を置いたのも土方。 ーーーやはり私が邪魔か そんな思いが強くなったのは、伊東の入隊もきっかけとなった。 入隊早々、参謀という破格の待遇を受けた伊東は、水戸学出身の勤王思想。 そんな伊東は、今の新撰組を見てどう思うのだろう、自分と同じ様な悩みを持つのではないかと思っていたが、伊東は随分、近藤達と良い関係を築いていっていた。 山南は部屋に籠る事も多くなっていたので、自然と近藤も、何かあると伊東に相談する事が多かった。 "相談役"すら、伊東のものになっていたのだ。 伊東が来たから、こうなったのか 自分が篭るから、こうなったのか… どちらなのかは、分からない。 分かっているのは、自分の心が穏やかではないという事だけ。
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