第四十九章

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涼花は、そんな事を知らない。 だから、沖田からその話を聞いた日、山南と屯所内で会い、その話題を振ってしまった。 見る見ると表情が曇る山南を見て、涼花はなんとなく、山南を悩ませていたのはこの話だったのかと思った。 すると、 「あの…私で良ければ、お話聞きます」 思わず、そう言ってしまった。 「私…あの、何も知らないくせにこんな事言っちゃうのが悪い所だって、自覚はしてるんですけど…」 顔を俯かせた涼花を見て、 「それが涼の良い所だ」 山南はそう言って、少し笑った。 「ありがとう。でも、大丈夫。それに、今涼に会って、また少し気持ちも和らいだ」 山南があまりに穏やかな表情を見せるものだから、涼花もそれ以上何も言えず、静かに去っていく山南の背中を見送った。
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