第五十章

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「え?なんで…ですか?」 「詳しくは、また話す。とりあえず今日は非番だ」 朝、短い二度寝から目覚めてすぐ、土方からそう言われた。 非番になる事に不満はないが、そうなった理由を聞かされない事に、不安を感じる。 …非番だと伝えてきた時の、土方の辛そうな表情は何だろう。 また、今朝と同じ胸騒ぎを感じる。 土方が部屋から出て行く時に、静かに閉められた障子にそっと近づいてみた。 ここを開ければ、何か分かる気がする。 (厠に…行く途中って事にすればいいよね) 別に、土方から部屋を出るなと言われたわけではないのだが、部屋を出る事に理由を作ってみた。 何か理由がないと、障子を開ける勇気が出ない程の胸騒ぎを感じていたのだ。 その理由を盾に、少し胸を張って廊下を歩いていくと、見慣れた後ろ姿を見つけた。 「総司」 「…涼……」 その名前を呼ぶと、沖田は振り返ったが、気まずそうに視線を下にさげた。
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