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母を亡くしたショックは、幼い涼花にとって大きなものだった。
しかし、父も自分と同じように悲しんでいると思い、幼いながらに明るく振舞った。父には笑っていてほしかったのだ。
そして涼花が小学生の頃、父は再婚する。
父も今までと変わらず優しく、新しい母も涼花を実の娘のように可愛がった。
笑っていてほしいと願った通り、父は笑っている。新しい母も優しい。
そんな二人を涼花は好きだった。しかし、その『好き』が、涼花を悩ませた。
二人を好きだと思う事が、亡くなった母への後ろめたさに変化していったのだ。
そして、仲睦まじい二人を見て思う。
あんなにお母さんの事を大好きだったのに、お父さんはもう別の人を愛せるの…?
二人を好きと思う事がきつい。でも、嫌いになる理由もない。でもきつい。
考えても答えのでない渦に飲み込まれた涼花は、この渦から抜け出すため、高校入学をいい機会とし、一人暮らしをすると心に決める。
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