第一章

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母を亡くしたショックは、幼い涼花にとって大きなものだった。 しかし、父も自分と同じように悲しんでいると思い、幼いながらに明るく振舞った。父には笑っていてほしかったのだ。 そして涼花が小学生の頃、父は再婚する。 父も今までと変わらず優しく、新しい母も涼花を実の娘のように可愛がった。 笑っていてほしいと願った通り、父は笑っている。新しい母も優しい。 そんな二人を涼花は好きだった。しかし、その『好き』が、涼花を悩ませた。 二人を好きだと思う事が、亡くなった母への後ろめたさに変化していったのだ。 そして、仲睦まじい二人を見て思う。 あんなにお母さんの事を大好きだったのに、お父さんはもう別の人を愛せるの…? 二人を好きと思う事がきつい。でも、嫌いになる理由もない。でもきつい。 考えても答えのでない渦に飲み込まれた涼花は、この渦から抜け出すため、高校入学をいい機会とし、一人暮らしをすると心に決める。
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