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早速「桃太郎」絵本の読みきかせをしました。
柿太郎は煙草を吹かしながら聴いていた。
絵本を読み終えた時、柿太郎が泣いていた。
「自分ええヤツやなぁ」
「僕は優しくないですよ。自己中だし塩対応だから」
「御礼に8億円あげるわ。8億円を手に入れたら何がしたい」
「冗談が下手ですね。柿太郎は8億円持ってないし、8円を置くというジョークでしょ」
「ええから、妄想してみて」
「母のためにバリアフリーの家と車椅子のまま乗り降りできる電気自動車を購入します。お金が余ったら、童話を執筆して自費出版します」
「ええ話を聴けて幸せやったぁ。おおきに」
「いえいえ。超妄想ですから」
「今から大きくなって橙色に変わるから、パッカーンって二つに割ってくれへん」
「桃太郎みたい。いいですよ」
柿太郎は大きくなり橙色に変わりました。
僕は桃太郎みたいに柿太郎が生まれると思いました。
だけど、違った。
大きな橙色の渋柿を二つに割ると、一万円の札束が溢れ出ました。
僕は腰をぬかした。
自然と涙が溢れていた。
だって、柿太郎が死んでしまったから。
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