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想像以上の容赦ない返答に心が少し痛む。
「私ドラムやりますやらして下さい」
控室にいる他バンドも驚きこちらを見るほどの大きな声を突然だしたのは由美の友人だった。
「私父がジャズ好きで楽器全般小さい頃から一通り教わってて。ドラムも叩けます」
ドラム叩けて俺たちの曲のファンなら音楽の方向性も同じ確かに文句なしだった。只一つを除いては。
「隆やったな、これで活動停止は免れるな」
純が嬉しそうに俺にハイタッチしようと手を挙げる。
「だめだヴィジュアルがシックリこない。もう妥協しないと決めたばかりなんだ。これは譲れない。図書館で読書してますみたいなオーラ全開の地味な女の子がVVANDSにマッチするとは思えない」
「お前さっき由美を誘ってたじゃん」
純の突っ込みを無視して俺は続けた。
「君も知っているようにVVANDSは正統ロックなだけじゃなくグランジ寄りなオルタナティブ音楽が中心。良い子の音楽じゃないんだよ」
「お前もシドを意識した格好してる位色んなジャンルのミーハーじゃん」
由美の冷たい目線とコメントにぐっと耐える。
「格好悪」
ボソっと呟く由美の友人。
黒髪ロングヘアにナチュラルメイクそして眼鏡と漫画の学級委員長キャラのような地味キャラのような彼女から想像できない腰のしっかり入った右ストレートが俺の顔面を捉える。
「俺のドラムテクを聴いたらそんな考えしてたこと後悔するぞ」
由美も彼女の豹変に初めて見たと驚きのおまりに硬直している。
彼女はすたすたと控え室を出て行く、その後ろ姿に俺は謎な胸の高鳴りを覚えた。
ライブの翌日の放課後、俺たちは二人でのバンドの今後を模索することにした。
「やっぱアコギだけじゃやれる曲も限界あるな」
純が匙を投げて仰向けに寝転がる。
「あの子のドラムテク見たかったなぁ。誰かが怒らせなかったらすぐにでも再出発できたのになぁ」
仰向けになりながら適当にアコギを弾き鳴らし俺に嫌味を言う。
「うるせーあんな地味っ子は俺のタイプじゃないんだよ」
「お前のタイプなんて聞いてねえよ。せっかくのファン一号なのに嫌われちゃったかなぁ」
「あん?お前あんなのタイプなの?」
恋話なら大歓迎と喜んで純の脇をつんと突っついた。
「いや、タイプというか。素は超美人だぜあれ、ちょっとびっしっとメイクして服装と髪型いじれば相当良い線行くと俺は思うぞ」
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