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「優歌はガンだったんだ。2か月前喉の転移が見つかった、あいつは手術を拒否して薬での治療を願った。 声だけは、歌だけは失いたくないと必死だったよ。」
俺は優歌の近況を全く知らない、いや知ろうとしなかった。
歌手としてブレイクした優歌のマネージャーになり公私を支えてきたのは純だった。
「あいつ酔っぱらうと、お前にめちゃめちゃ会いたがってたよ。別れてから6年たっても本当に必要なのは俺じゃなくお前だった。
俺が呼んでやる、ぶん殴ってでもお前の前に引っ張ってきてやるって言ったこともあった。
でも優歌のやつは必ず言うんだ、隆がまた自ら歌うようになるまで隆から私に会いたいって思うまでたくないって。」
ああ、あいつは頑固だったよ。酔うと少し弱いとこ見せてそれがまた俺にはかわいく見えて‥‥たぶん純もそう思ってたんだろうな。
「それで、俺とお前はバンド解散した後もちょくちょく会ってたからさ、お前の近況さりげなく聞かせてたんだ、すげえ興味無さそうに聞くもんだからほかの話にかえると優歌のやつ、実はバレバレなんだけどお前の近況の続き聞きたくてさりげなく話戻そうとするんよ、それが面白くて時々わざと話題変えてやったよ」
純は笑いながら一筋の涙を流した。
俺は何も言えずにただただグラスに入っているウイスキーをひたすら飲み続けた。
「優歌の最後のオリジナルアルバムさぁ先週完成したんだ、その曲順と歌詞の内容全部大切な思い出でできてるって言ってた。
明日優歌に挨拶行った後お前にやるよ、世の中にまだリリースしてないから。動画サイトにはアップするなよ」
「ああ、サンキューな。最後のアルバムかぁもっと聞きたかったな」
「けっ、馬鹿野郎そのセリフは優歌に明日直接言ってやれ。」
今日はとことん付き合えと、純はウィスキーをボトルごと注文しやがった。
「明日酒臭いって優歌に怒られちゃうかな」
「お前酒弱いくせに無理して飲みまくるから苦労したって優歌も言ってたからな。 20歳のバースディライブの後の「昇り龍」での打ち上げん時だって初めて飲むのにジャックダニエルボトル一気飲みしてこれがロックじゃあとか言って周りドン引きさせてただろ」
「ああ、あれね記憶ないから俺の人生ではその日はないことにしてるんだ」
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