序章

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ああ、まったく恥ずかしい俺の黒歴史はたいていこの旧友の純は知っている。 そして、俺もまた純の黒歴史を知っている。 「んで、その打ち上げ終わって次会った時に隆と優歌が付き合ってますだもんなふざけんなよまったくバンド内恋愛は御法度って言いだしたお前が破りやがって」 「ああもう、わかってるよお前にも優歌にも俺はだいぶ迷惑かけましたよ。 いいじゃねえか、仲間なんだからな持ちつ持たれつだろ」 開きなおってやったが純の反応はしおらしかった。 「そうだよ、俺達仲間だったんだよなんでこうなっちまったんだろうな」 「すまん、たぶんそれも全部俺のせいだ」 その後俺らは語らずに二人でボトルを開けるまで飲み続けた。 次の日俺と純は昼頃に優歌の実家に行った。 多くの関係者が参列しているなか俺の務めるイベント会社のお偉いさんも何人か見えていた。 たぶんあのお偉いさんは俺を見てもすぐに気づかないだろうけど、こそこそかくれながら通夜に参加した。 もちろん早朝二日酔いに耐えながら上司に電話し友人の葬式があると会社を休むことを告げたが、上司は何一つ文句言うことなくしっかり供養してこいとだけ言ってくれた。 以前上司との仕事で優歌のイベントを行った時にことから上司も察してくれていたようだった。 世間には俺と純と優歌の関係は公にしたくない俺たちの中での大切な思い出にしときたかった。だから上司以外の会社の人に見つかり利用されるのを嫌がった俺は友人の通夜なのに居心地が悪かった。 純はお前の気持ちはわかるよと同情してくれた、実際に純も専属マネージャーとして優歌を支えていなかったと通夜に参列した事務所の社長に相当絞られた後のようで居心地悪いのだった。 俺たちは人がほとんどいなくなるタイミングを計っていたが、優歌のお母さんが親族だけのお別れの時間を作りそこで俺と純を呼んでくれたおかけでゆっくり優歌と会うことができたのだった。
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