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「方向性の違いでメンバーが抜けるなんてよく聞く話だろ?むしろ早い段階でわかってよかった」
純は眼鏡君の肩をポンと叩きお疲れと軽く言った。
「お、おう純には本当に感謝して」
「ああ、お礼は良いから。じゃあ頑張ってね」
純のまったく呼び止めるきのない会話に寂しそうにしている眼鏡君を見て笑いがこみ上げてきたが必死に我慢する。
控室から一人で出ていく眼鏡君を黙って見届けた後に純に文句言ってやった。
お前に新しくドラムとして入ってくれる知り合いいるのか?いないだろ、どうしてくれる当分ライブができないじゃないかと、先ほど眼鏡君にぶつけるはずだった怒りを急に邪魔した純に思いっきりぶつけてやった。
俺の一通りの文句と怒りを黙って受け止めた後に、ハイハイと軽く受け流す。
「隆お前はあんな中途半端な気持ちのやつとこの先ずっとバンド続けてく気だったのか?俺はちゃんとしたやつにかえるべきだと思っていたから、あいつが辞めるって言った瞬間チャンスだって思ったぜ、これで傷つけずにメンバーを替えられるってね」
「まあ、確かにあいつとじゃシックリとこなかったけど。とりあえずライブしてみたいって気持ちのために仕方なく入れただけだったしな」
この半年ライブしてみてバンドとしての一体感が感じられなかったのは事実だった純の言う通りこの早い段階でのメンバーチェンジは全然ありな展開だ。
「でもよお、どうすんだよ。二人でアコギで歌うか」
頭をかきむしり、机に突っ伏した。
「何だ何だ二人共少し離れて見てたがもめ事かい?」
脳天な声で話かけてきた女の声、机から顔を上げ振り向くと同じ学校の由美だった。
「ああ、VVANDS解散の危機的状況」
自傷気味に笑って見せた
「それは困ります。」
由美の隣にいる見慣れない顔の女が急に話に入ってきた
「えっと誰この方?」
「中学の友人でさぁ、あんたらの知り合いって話したら紹介してって言われて連れてきちゃった」
ちらっと由美の友人を見ると顔を赤くして目を伏ている。
「純やったぜ俺たちのファンだ」
「せっかくファン一号ができたのに活動停止とはついてないな俺たち」
ああ、そうだったとテンションが下がる。
「由美お前ドラムでVVANDS入らない?」
「はあ?入るわけないでしょバカ。第一ドラムなんて叩いたことないわ」
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