◆4◆ 呪縛の門出

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   「お客さん。お1人で良かったんですか?」 「ええ、いいんです。あの人が絡んで来てたから丁度運転手さんが来てくれて助かりました。」  サラリと動揺を隠して嘘をつく。 「そうですか。最近は、変なのが居ますからねえお客さんは特に気を付けないと。」 「ありがとうございます。」  タクシー内では楽しい話しをしてくれる運転手のおかげで憂鬱が少し晴れて目的地に着いた。  タクシーを降りて急いでエレベーターホールに向かう。 「ちょっと早かったかな。」  時計を見ると約束の時間までしばらく間があった。 「もうすぐ見納めだな・・・・・・。」  1年間何度も訪れた場所。倖せを疑わずに沢山の思い出が出来てしまった。  でももう倖せな思い出の中には、ここの記憶を入れることはない。 「若狭様。」 「早いですけど段取りを確認してもいいですか?」 「もちろんでございます。招待状も出来ましたので見てください。」 「解りました。」  プランナーと一緒にミーティングルームに入る。  その頃相手側の家族が式場に到着していた。 「あなた。」   
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