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夫の手を握る手が震える。
「大丈夫だ。彼女とよく話そう。」
「でも悠葵がしたことを許しては、もらえないわよね。」
「それは、覚悟の上だろう。」
夫婦は、衝撃の事実を息子から告白され只でさえ動揺していたのに元婚約者から結婚式の話しが来て更に驚愕してしまった。
「行こう。」
「ええ。」
倖せいっぱいで訪れたのが遠い過去のことのようだった。
「13時に予約した鈴村です。」
「お待ちしておりました。3階までエレベーターでどうぞ。」
「ありがとう。」
緊張しながら階を上っていく。
「月依さん。お着きになったようです。」
「はい。」
ファイルを手に持ってエレベーターホールに向かう。
ゆっくりと扉が開く。
「お待ちしてました。お義父さん、お義母さん、弦(ユズル)くん。」
相手の家族を満面の笑みで出迎える。
「あっ、もうこんな呼び方ダメですね。鈴村さんまだ時間があるので少しお話ししますか?」
まるで初めから2人の結婚式だったと言わんばかりの彼女の対応に上手く返せない。
「狂っちゃったの?」
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