第1章

21/21
前へ
/21ページ
次へ
斎藤は社長に会いに、1年前に働いてた証券会社に向かう。 勿論社長の奴隷になる為ではない。 今の自分を見せに行く為だ。 社長室へ向かい、中に入ると社長は"待っていたよ"というような顔で斎藤を迎え入れた。 「お前が何も言わなくても、世間がお前の活躍を教えてくれる。 どうやら上手くいってるようだな!」 「はい!」 「1年前のお前は金さえあればなんとかなるといった。 それじゃぁ上手くいくはずなんかない。 だから俺はお前に1億円の試練を与えた。 お前がこの試練を乗り越えられるかは正直5分5分だと思っていた。 だが、お前は俺の見込み以上の男だった。 金より大切なものにしっかり気付いただろ?」 「はい。」 成功するのに大切なのは、お金じゃない。 大切なのはマインド。 稼ぎ続ける為の考え方。 何が起きても諦めないメンタルの強さ。 斎藤はこの1年で1億円以上の価値のある財産を手に入れたのだ。 「お前に1億円投資する価値があったよ。」 「それなんですが…社長。 本日は社長から頂いた1億円をお返しに上がりました。」 斎藤は1億円の入ったアタッシュケースを社長の前に出した。 「お前にやった1億だ。とっておきなさい。今のお前ならその1億は武器になる。」 「大丈夫です。僕にはもう必要ないですから。」 斎藤は、社長にそう言い残し、会社を出た。 社長に1億円返した事により、斎藤の手元にはほとんど金が残らなかった。 それでも斎藤の顔は晴れやかで、凛としていた。 1年前と比べてまるで別人になった。 斎藤の携帯にメッセージが届く。 相手は田中だ。 そこには、 "来たな!斎藤。 ようこそ、自由な世界へ。" とだけ書かれていた。 「待ってろよ田中。すぐにお前を追い抜くからな。」 斎藤は決意し、歩きだした。 それは後に、年商30億円、年収5億円プレイヤーを稼ぎ出す、"奇跡の男"斎藤 裕司の伝説の始まりだった。 ~END~
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加