第1章

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田中と別れた後、斎藤は打ちひしがれていた。 田中の時間にもお金にも縛られないライフスタイルは斎藤の理想そのものだった。 斎藤は自分の今までの選択が間違っていた事に気付き、大きなショックを受けた。 それと同時に、くすぶっていた心に一気に火がついた。 「田中にも出来たのだんだから自分にも出来るはずだ。」 そう自分にいい聞かせ、斎藤は独立を決心した。 何をやるかはもう決めてあった。 そして次の日、斎藤は早速上司に辞表を提出した。 上司は反対したが、斎藤の確固たる決意を前にして、辞表を受け取るしかなかった。 今の仕事をしながら、副業で始めて、そっちが安定してから本業にするという方法も考えたが、今年の10月にマイナンバー制度が始まり、副業で収入を得てしまうと、会社にバレてしまう。 それに仕事を辞めてそっちに専念した方が成功も早いと考え、斎藤らしくない思い切った決断をした。 前々から独立する事も考えていたので、準備は整っている。 後は資金の問題さえ解決すれば、絶対成功出来ると確信していた。
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