自分自身への告訴

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要領を得ない話だと思ったラウル氏は、そう質問した。 「いいえ。訴えたいのは、もう一人の私です」 「どういうことですか?・・・あなたは双子なんですか?」 「違います。もう一人の自分の人格を、です」 「自分の人格を?もしかして、あなたは二重人格とでも言うのですか?」 「そうです。正真正銘の」 「まさか・・・。しかし、それが本当だとすれば、あなたはここに来るべきではない。・・・あなたもそれを分かっておられるようですが」 客の男は少し落ち着きを取り戻していた。 もとは冷静な人物で、いろいろと考えた結果、ラウル氏のもとにやって来たということも何となく分かった。 「医者には行ってるんですね?」
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