第1章

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ホテルを出て、アタシとトシヤは腕を組んで路地裏を歩いた。 横を見上げれば、造りの良い横顔。 トシヤはアタシの視線に気づいて、アタシの方を向いた。 「ん?」 「……なんでもない。」 2人が結婚するのは一年後。 マリナの卒業と同時に2人は籍を入れるらしい。 と言うことは、アタシがトシヤと一緒にいられるのもあと一年と言うことだ。 それを思うと、急に胸が締め付けられた。 「ねぇ、トシヤはもし一億円あったらどうする?」 「え?俺かぁ…う~ん…。」 『リカと世界一周旅行に行く。』 嘘でもいい。 嘘でもいいから、トシヤがそう言わないかなと思った。 「俺なら…」 その時…。
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