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「もし一億円あったら…」
「………え?」
チラリと目線をマリナへ向けると、マリナはどこか前を向いて言った。
「前に話してたじゃない?もし一億円あったら…私、探偵を雇うわ。」
「マリナ…?」
「探偵って、依頼すると結構高額なのよ。探偵を雇って、トシヤを奪った人を探して貰って、確実な証拠を見つけて貰うの。」
騒がしい食堂。
その筈なのに、こちらを向かないマリナの声は、やけにアタシの耳に通った。
「そしてね、社会的制裁を与えるよりも、もっと苦しい思いや悲しみを味わってもらうの。」
「………。」
ごめん。マリナ。
それほどまで愛してたトシヤさんを、助けも呼ばずにアタシは逃げた。
マリナの深い愛情と悲しみを知って、自分が犯してしまった過ちに今更気づいてしまった。
なにが ほんのチョットだけ?
親友の婚約者と関係を持って優越感に浸っていた自分が酷く愚かに思えた。
アタシは罰が当たったんだ…。
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