第1章

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「リカ!こっちこっち!」 アタシは3週間振りに大学へ行った。外へ出ることがとても怖かったけど、震える足でゆっくり大学へ来た。 休んでいる間はマリナから何度も着信とメールがあった。 内容は、トシヤが通り魔に刺され、搬送された病院で亡くなったということと、まだ犯人は捕まっていないこと。 その次は、なかなか大学に出てこないアタシを心配する内容だった。 「リカ、体はもう大丈夫なの?」 「あ…うん!思ったより風邪が長引いちゃって!」 あの夜のことはマリナには言えない。 だからアタシが3週間も休んだのは、ホントは精神的ショックと、顔の腫れと痕が消えるのを待っていたせいだとも言えない。 「トシヤさんのこと…アタシ、何て言ったらいいか…。」 お昼時の騒がしい食堂で、アタシはマリナの顔を見られずに消え入りそうな声で言った。
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