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「社会的制裁以外の苦しみってなにかしら?うーん、そうねぇ…」
顎に人差し指を沿えて、マリナは考え出した。
婚約者を亡くしたばかりなのに気丈に振る舞うマリナに胸が痛んだ。
「……マリナ、あの…、」
アタシは何を言おうとしているのか…。
罪の意識に潰されそうになり、トシヤとのことを謝ってしまいたい。
でもそんなことできない。
マリナを余計に悲しませてしまう。
どうしようもできないジレンマに苦しめられマリナを見ると、マリナはピンクの唇の端を上げて言った。
「その人の目の前で、その人の好きな人を殺すっていうのはどうかしら?」
―『好きな人を殺すっていうのはどうかしら?』
マリナの綺麗な声が、あの夜を鮮明にフラッシュバックさせた。
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