第1章

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「いないけど!今はいないけどいつかはって話し!ほら、『もしも』って言ってるじゃない!」 テーブルに飛ばしたクリームを紙ナプキンで慌てて拭きながら訂正すると、マリナはニコリと微笑んだ。 「ふふっ、そうよね。もし好きな人ができたら一番に教えるって約束だもんね。」 「そうそう。で、マリナならどうする?」 「そうねぇ…私なら…」 「マリナ!」 マリナが考えながらカップに口をつけた時、マリナを呼ぶ男の声が聞こえた。 「あ、トシヤ~!」 こっちこっち! と、マリナが男に手を振ると、男はにこやかに笑いながらアタシ達のテーブルに座った。 「ごめん、待った?」 「うぅん、リカと待ってたから大丈夫よ。」 「そっか。リカちゃん、マリナに付き合わせてごめんね。」 「あ~、なによその言い方!」 男の名前は トシヤ。 私たちの三歳年上の、マリナの婚約者だ。
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