第1章

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「一億円…あったら、かぁ…。」 「ん…何?」 フカフカなベッドの上で、アタシは余韻に浸りながら。 トシヤはタバコに火を着けながら、ピロートークを始めた。 「今日マリナと、話してたの。」 「あぁ、一億円ね。」 「もし一億円あったら、アタシ、トシヤを買いたい。」 「プッ…かわいいこと言うじゃん。」 トシヤは垂れた目を更に下げて言った。 その言葉に少しムッとしてしまったけど、トシヤのその顔が、すごく好きだと思った。 「ねぇ、もしかしてマリナって一億くらい持ってる?」 社長令嬢だし、それくらい貯金があるかもしれない。 何十階もある高いビルの社長の一人娘。アタシには想像もつかない世界に、マリナはずっと生きている。
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