第1章

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タバコの煙を吐いて、トシヤは言った。 「かもなぁ。ま、いずれは社長の財産を受け継ぐんだから、一億なんてきっと小さな額だよ。」 「……そうなんだ…。」 あまりに自分とはかけ離れた話しに呆然とするアタシを、トシヤは抱き寄せた。 「俺もホントはリカちゃんみたいな普通の子と結婚したかったなぁ~!」 頭をグリグリとつけて、でもその言葉が本気じゃないことはちゃんと分かっている。 「ふふっ。でもマリナはすごくいい子でしょ?絶対に幸せにしてあげてね。」 マリナを裏切っているという気持ちはもちろんある。 だけど、これはマリナとトシヤが結婚することで終わる関係。 でも、どんどん深みにハマっていくアタシ。 罪悪感と背徳感と、全てを持っているマリナからトシヤを奪っているという、優越感。
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