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タバコの煙を吐いて、トシヤは言った。
「かもなぁ。ま、いずれは社長の財産を受け継ぐんだから、一億なんてきっと小さな額だよ。」
「……そうなんだ…。」
あまりに自分とはかけ離れた話しに呆然とするアタシを、トシヤは抱き寄せた。
「俺もホントはリカちゃんみたいな普通の子と結婚したかったなぁ~!」
頭をグリグリとつけて、でもその言葉が本気じゃないことはちゃんと分かっている。
「ふふっ。でもマリナはすごくいい子でしょ?絶対に幸せにしてあげてね。」
マリナを裏切っているという気持ちはもちろんある。
だけど、これはマリナとトシヤが結婚することで終わる関係。
でも、どんどん深みにハマっていくアタシ。
罪悪感と背徳感と、全てを持っているマリナからトシヤを奪っているという、優越感。
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