3章

7/11
前へ
/69ページ
次へ
「なるべくなら危ない橋は渡らない方が良いだろう?」 案の定こちらが想像していた通りの返答をしてきた。はっきり言って酷い。かなり酷い。 「もし、彼女が感染して我々に襲いかかってきたらどうするのかな?」 そして酷いが、今は一番現実的な考えでもある。確かにこんな状況じゃしょうがないかもしれない。でもな、 「だからって、あそこに置き去りなんてできるわけ無いだろうが!!」 「違う違う。今、俺が聞いたのはそう言うことでは無いだろう。襲いかかってきたらどうするんだ、と聞いたんだ」 ゴリが首を振りながら、さっきの質問を繰り返す。 そうか。要するにこいつは自分が死ぬのが怖いだけなんだ。それならこっちにだって考えがある。 「そんなに死ぬのが嫌なら今すぐ、ここから出ていけ」 「ふざけるな!今出たらやつらに喰われるだろう!」 「ふざけているのはお前だ。沙綾に喰われたくないんだろう?じゃあ消えろ」 ゴリは怒っているのか、肩を震わせていたが、自分の荷物を纏めて保健室の前に立った。 「他にも生き延びているグループが有るようだ。そこに入れてもらうとするよ」 「そうか。せいぜい追い出されないように気を付けるんだな」 正直、こいつにはもう会いたくない。願わくは、早々に死んでくれることを祈るばかりだな。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加