第1章

4/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
PM 1:40 「えー、このXにYを代入して式を求めますが………」 結局弁当を諦め、午後の授業に臨む訳だが、 とても腹が減っている。 そんな状態の俺に追い討ちをかけたのは頭に飛んできた1つの消しゴムだった。その消しゴムはとんでもないスピードで俺の頭に当たると跳ね返り、床に転がった。 俺が消しゴムの怖さを胸に刻み、頭の痛みに悶えていると、左斜め後ろからヒソヒソ声で俺の名前が呼ばれた。 「カイくーん。消しゴムとって?」 俺は地面に手を伸ばし転がっている消しゴムを拾って、差し出された手の上に乗せた。 こいつは俺の幼馴染みの、斉藤紅亜(サイトウクレア)。今の出来事からも分かるが何をするか分からない。 知り合ったのは小学校の時で中学校で離れたが高校で再会した。 因みに知り合ったきっかけはその名前の特異性から。 「何であんなスピードで消しゴムが飛んできたんだよ」 「ゴメーン。滑っちゃって」 「いやいや、どう考えたら滑ってあんなスピードになるんだよ」 「いや、ほら、あれ、ピーンって」 何言ってんだこいつ。 俺は信じられずに追及を重ねた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!