第1章

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担任教師が教壇に立ち言う。 「今、会議で決まったことだが、全校生徒は今すぐに下校になった。そしてこの学校は長期間の休校に」 ここまで言ったところで担任教師の口が止まる。 担任教師が見ている先を見てみると、そこには教室の入り口に立つ生徒(このクラスでは無い)がいた。 「君、今は緊急のホームルーム中だぞ!直ぐに元いた教室に…」 またもや言葉が途切れる。だが、今度の理由は誰がどう見ても明白だった。 教師がさっきの生徒のところに近づき、肩を掴み、クラスに戻るよう説得している途中、 その生徒が    教師の   首に      噛みついた。 「ぐ、あ、ああ…」 次の瞬間、教室内はパニックの嵐になった。 教室から逃げ出そうとする者、教師に噛みつく生徒を引き剥がそうとする者、ただ叫ぶ者、反応は様々だった。 そんな中で俺は、何もしなかった。何も、出来なかった。 パニックを起こしている人をただ呆然と眺めていた。
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