首藤姫子

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田舎から上京して来た私には、休日にこうして大学の友達とオシャレなカフェでランチしている自分が、都会に馴染んでいる気がして堪らなく嬉しくなる。 「やっぱさ、さっきのルームウェア買っちゃおうかなぁ?」 「LIZLISAの?セーラームーンとコラボしてるやつでしょ?あれ、かわいかった」 「買おう、買おう。お揃いにしようよ」 竹下通りの中程、クレープ屋さんが並んでいる場所から、ちょっと奥に入った緑に覆われたオープンテラスがあるカフェで、私たちはランチを楽しんでいた。 ウッドデッキの解放されたテラス席は、人込みでごった返す通りの喧騒を忘れさせてくれる。 食後のドリンクを飲みながら、ホッと一息吐く。彼女たちは、どうやらさっき見たお店のルームウェアが気になるみたいだ。 そんな彼女たちの様子を微笑ましく眺めていると、私と同じように田舎から上京してきた組の朋実(ともみ)が、私に顔を向けて訊ねた。 「姫子はどうする?彼氏と約束あるんだっけ?」 「うん。これから、新宿で待ち合わせ。でも、その前にマサシさんのショップに寄ってから、新作のシャツが入荷したってTwitterでお知らせ来てたんだ」
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