貯金成功一億円! なんて、気付いたらゼロが増えてた。

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暗証番号とかちまちましたものを、こまこましたボタンを押して入力するなんて、面倒だろう? 通帳に入った金をわざわざ銀行に降ろしに行くのも面倒だろう? 大体金を使うときなんか、財布に何枚かずつ入れて使うんだから、手元にある方が楽じゃんか。 クレジットカードで支払うなら楽だけどな。……あぁ、カードの方が良かったか? でもお前は、そーいうちまちました作業好きだったよな。クレジットカードは怖くて嫌だとか言うし。 そのくせして大金は手元に持ちたくないとか言うがな。 めんどくせぇな、現金。ほい一括。 その弁護士は信頼できるぞ。あたしの数少ない友人のひとりだ。頼ってやれ。 あたしが親でなくお前にこれを渡すのには理由がある。 お前なら、この金を有意義に使ってくれるだろう? あたしはダメだ。買い物面倒臭いし、会計もダルい。買ってきたものをしまうのも、使うのもメンドー。 だから、お前が使ってくれ。あたしの代わりに。 「……というような内容が、お姉さまの遺言書にあります。さて、どうしますか?」 弁護士が私に問いかけた。 私は、ケースの蓋を完全に開けた。
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