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姉は、自分達でおこした火を見ながら、笑った。
「これで芋焼いたら、うめぇーぞ」
その案には私も賛成だった。美味しいお芋は食べたい。
「しかも、枯れ枝だけじゃなく、札束とか入れたいな」
「お札、食べるの?」
「食わねぇよ! お札は燃やすのー」
「どうして?」
さて、どうしてだったかな……。
黙々と私は札束を燃やしていき、弁護士は向かい側で明らかに"もったいない"という顔をしていた。
「よかったら残った分、持っていってもいいですよ」
そう言ったら弁護士は、すでに姉から前金をもらっているからと、断った。
「姉は面倒臭がりでしたが、仕事には真面目だったので。使わないお金がどんどん貯まったんですね……」
燃えていくお札。警察が通りかかったらどうしよう。この弁護士はきちんと説明してくれるだろうか。
姉が、頼ってやれと言うほどだから、信用してもいいんだろう。
不意に弁護士が聞いてきた。炎の向こうから真っ直ぐに私を見つめる。
「そういえば、あなたは金額を聞きませんでしたね」
私は実際、もういくつかしかない束が片隅に入ったケースの中身の金額を知らない。
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