研修一日目

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 決戦島から東に約三キロ。  他の島々と違い海には面しておらず、海上から少し浮いた小さな島、幽閉島。  その四つある航空艇停留場のひとつに、私はいた。 「さて、今日から四日間この島で過ごして貰います。この島から出なければ基本的にどこでキャンプしてもいいですが、島の中央の危険区域には近づかないようにしてください。島の上部には比較的弱い生物しか生息していませんが、島の地下施設には凶悪な生物が多数生息しています。まぁひとつしかない出入り口には私含め監視が三人もいるからあなたたちが侵入するとかは無理だとは思うけれど」  と、真面目に説明をするリスティルだが、こいつまじでふざけてるのかと思うくらい今の姿はふざけていた。 「で、あなたはどうしてそんな格好なのかしら?」  もはやみゃーこちゃんの目には軽蔑しか込められていなかった。私ももう突っ込む気力ないわ。 「可愛いじゃないですか猫ちゃんコス。二人の分も用意してありますよ?」  ロングコートのフードに猫耳、臀部にはしっぽが付いている。なるほど可愛いとは思う。しかしリスティルよ、あなたの年齢でそれはちょっと痛いのではないかと、私はそう問いたい。 「いい歳してそれはちょっと痛いと思いますが」  みゃーこちゃん、もうちょっとオブラートとか餃子の皮とかに包もうよ。 「何言ってるのですか、私くらいの年齢が対象でしょう」  こいつホント何言ってるのほんと。 「あなたたち私のこと何歳だと思っているの?」  この人に呆れた顔をされるとむかつくのは全人類共通の感情だろうな。みゃーこちゃんなんて今まで見たことないくらい苦々しい顔をしている。その顔は女の子としてはレッドカード、失格レベルです。 「えっと、二十歳後半?」 「えっ、なに言ってるのあーちゃん。この人は三十半ばよ?」  すごい失礼なこと言い切ったなみゃーこちゃん。 「そんなに上に見えるのか……ちょっとショックかな」  すこぶる笑顔で言われても説得力の原子すらないぞ。  しかし、そんなに上ときたか。だとすると実年齢はもっと下ということになる。三十代は流石にないだろうから、私の思った二十代あたりが妥当かな。 「私こう見えてもまだ十七歳よ」 「…………」 「あの人寝ているのかしら、ねぇあーちゃん」
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