研修一日目

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 あれは寝言だと言いたいのかみゃーこちゃん。確かに永遠の十七歳とか痛い発言しちゃう人とかはいるけれど、多分あれは本当だと思う。 「みゃーこちゃん、あれ、見てみな」  私はリスティルが持っているその手帳を指差す。  魔法使用許可証と呼ばれる、言ってしまえば学生証のようなものだ。  日本魔法少女協会が発行するそれを持たないと、あらゆる魔法は発動前に消失してしまう。かくいう私もこの許可証を持たないので、家の周辺の障壁が展開された空間でしか魔法を使えない。  というか許可証が日本のものと違い英国仕様だ。本当にリスティルって英国出身なのか。 「でも、私のお母さんが現役のときに日本に来たって言ってたし、リスティルっていつから魔法少女やってるの?」  お母さんが現役、しかもまだ前線の地区隊長をしていた時期だから、十年以上も前から魔法少女やってたことになる。なにそれこの人本当にすごい人じゃない。  普通の魔法少女は二年も魔法を使い続ければ魔動力、魔法力ともに枯渇してしまい、倍の四年は休暇を取らないと威力のある魔法を放てないとされている。  しかし、お母さんやお姉ちゃん、愚妹の言動から察するに、リスティルはこの十年、ないし十年以上も休暇を取らずに現役で前線に立っているのだ。まさに才女である。痴女なんて言ってごめんよリスティル。 「これでも私、今年で十三年目のベテランよ」  才能ある魔法少女って変態しかいないのかな。そうしたら私真面目系魔法少女目指すわ。そうしたら絶対もてる気がする。胸は育たないかもしれないけれど。 「私、疲れてるのかしら」 「現実見ようよみゃーこちゃん」  みゃーこちゃんはどうあっても認めたくないらしい。しかしそれは残酷にも事実なのだ。 「だから合法的に私たちは付き合えるのですよ、あーちゃん」 「おいおい、この島に入ったらおふざけ禁止って言ったの誰だっけ? それとあーちゃんって呼ぶな」  こんな変態と付き合うなら、私はみゃーこちゃんの奴隷になるわ。いやどっちも嫌だなそれ。もし女の子と付き合うならちーちゃんみたいな子がいいなぁ。あの綺麗な長髪とつやつやの肌、ぜひとも私のものにしたい。 「はぁ、そろそろこの茶番もお開きにして、本題に入ってもいいんじゃないですか」
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