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みゃーこちゃんはそろそろリスティルという人間に飽きてきたか。食べ物もそうだけれど人の好き嫌い激しいよねぇみゃーこちゃん。そういうところも可愛いけれど。
「えっと、研修開始時間は……三十分も過ぎてるわね」
「…………」
「行くわよあーちゃん。あっ、私の荷物もお願いね」
「自分の荷物は自分で持ちなさい」
ようやくみゃーこちゃんの調教が抜けてきた。いやはや、本当に気持ちよかったじゃなくて辛かった。ごめんまだ抜けてないわ。恐るべしみゃーこちゃんの調教。
リスティルと別れた私たちは、まず活動拠点をどこにするかを話し合っていた。中心部は間違いなく他班との交戦地帯になる。かといって端っこでこそこそとしていたらいい成績は残せないだろう。意欲があるように見せることが出来て、かつ他班との接触が最低限になる位置を絞り込んでいた。いくらみゃーこちゃんの森林支配の効果があるからといって、他班との戦力差は圧倒的だ。交戦はなるべくなら控えて、むしろ生息している生物を多く倒して評価をもらうことに集中するのが得策だと、そこは意見が一致した。
意見が分かれたのは拠点の位置だ。
私としては拠点をなるべく端のほうへ置き、活動を中心部にするほうがいいと思うが、みゃーこちゃんは逆を提案してきた。なるべく中心に拠点を置き、活動は島の外周にするという。
しかしどうだろうか。中心に拠点を置けばまず間違いなく他班に狙われる。ただでさえ戦力差が激しいのに、それは悪手と言わざるを得ない。
「しかしねあーちゃん。こっちから探して踏み潰すのと、あっちから私たちの罠にかかりに来るのを待つのと、どっちが楽だと思う?」
こういうときでも楽をして相手を辱めようとするみゃーこちゃんってやっぱすごいわ。
「ま、これだけ木があれば罠のふたつやみっつ、一時間でちゃちゃっと作っちゃうわ」
「少なくない?」
ふたつやみっつであの縦ロールとことちゃんをどうにかできると思えないのだが。
「あーちゃん、桁がふたつも違うわよ」
あー、そういうこと。
二百や三百は余裕ってことですね。さすが私のみゃーこちゃん。
「中心地に拠点を築き、罠を張って相手を待ち伏せする。これでいいわね?」
疑問系で聞いてくるが、しかしそれは有無を言わさない語調だった。
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