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黒川は亜美ちゃんと組み合っていた教室中央から、山田の居るドア付近まで吹っ飛んでいた。そんな力を入れてやったつもりでは無かったのに…というか僕が蹴った所であそこまで、飛ぶはずは無いのだが…。
そんな僕を亜美ちゃん、山田共に「え?」とした顔で見ている。やめろ、そんな顔で見るんじゃない。
「流石、哀川くんね…。ときめいたわ…」
そんな言葉を残して黒川泉は去っていった。そうして正気を取り戻した山田が言う。
「お、おいっ!お前、黒川泣いてたぞっ!?」
「う、うそっ」
「マジだって!目に涙溜めてよ…走りながら涙拭いてたよ!お前…」
「やーいやーい!女の子泣かし~!」
そんな事を亜美ちゃんまで言う。しまった…。なんてことをしてしまったのだ?僕のような健全な男子生徒が女性を足蹴にするなんて…。しかも頭を…。うーん…うーん。
「ふふ…。でも哀川くん。助かったよ。ありがと。あのままじゃあホント泉ちゃんのなすがままだった…。凄く強くなってたよ…。流石に怖かった…かな」
「ま、まあ、前に助けて貰ったしね。僕も亜美ちゃんを助けたいしさ…」
「へへへ…。それより哀川くん、何か武道やってたの?あの蹴りの強さは尋常じゃないと思うけど…」
「あーおれも思った。普通あそこまで人が飛ぶか?って思ったし」
「山田。もう黒川についてのお咎めは無しでいいかな?」
「お咎めって!おれはただ事実を言っただけだよ!…流石にあそこまでの蹴りを受けたら首がどうかなってるかもだしな…」
「そう、なのか…。また今度謝っておくよ」
「ん?おお…。おれちょっと様子見てくるわ!あんな女でも何処かで倒れてたら気が咎めるしなっ」
「あっ。だったら僕が…」
「お前は此処に居ろ!今みたいなのが、起こるとも限らないだろ?」
「それも、そうだな…」
「じゃ、あとでなっ!」
そう言って山田は去っていった。…解放されてはいるが、亜美ちゃんと二人きり!…緊張する。
「あ、あの…哀川くんっ」
「え?なに?」
「お父さんがね、ホントは一緒に行く筈だったんだけどね、仕事が入っていけなくなっちゃったのね、だから哀川くん一緒にどうかなって思ったんだけど」
何かに、何かに何かに誘われている?なんだろう?…せめて遊園地だけではあらん事を…。嗚呼しかし御心のままに…。
「何処に?」
「遊園地」
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