プロローグ

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繰り返し見る夢があった。 なんかロマンチックな夢とかならいいんだけど。 そうじゃなくて怖い夢。 どうしてそういう夢を見るのかわからなくて。 ていうか、そもそも記憶を必死になって手繰ってもきっかけのイメージに辿り着かなくて、そもそもなんで繰り返し見るのかさえわからない。 それは死体だらけの部屋に辿り着く夢だ。 その中に知っている人の顔はない。 もちろん怖過ぎなので夢の中で死んでいる人の顔を確認したりしてないのだけど、知らない人だっていうことは何故かわかっている。 ひょっとしたら、小さい頃に見たホラー映画かなにかがトラウマ過ぎて、何度も何度もそういうシーンを夢で見てるだけかもしれないのだけど、そうだとしたらいつになったらそのトラウマを克服するんだよ?というぐらいなのだ。 たぶん最初に見たのは小学生になるかどうかだったような気がするから10年以上ってことになる。わたしって、10年以上もそのホラー映画がトラウマになってるほど繊細な女の子なわけ? それは納得できない説明だ。 自分では標準的な女子高生だと思っている。 普通に遊びに行くし、普通に学校に行くし、普通に恋愛もする。 まだ本当に付き合った男子はいないけど。 つまり、誤解しないで欲しいのだけど、別にその夢を見てるからって精神を病んでいるわけじゃないから。 なんでもないんだ、ほんと。 見てるときは怖いし、夜中にそれで目が覚めたときもめちゃ怖いのだけど、せいぜいそのくらいで。 ただ、たぶんなんだけど、それを何度も見ることが不思議で。 その理由を知りたくて。 それで彼女、杉橋詩乃(スギハシシノ)と仲良くしている。 詩乃は、まあ、言ってみれば電波で。 友達のことを悪く言うつもりはないんだけど。 こうなんていうのかな、わかりやすく言うとそうなので、あえてそう書いたんだけど。 でもいい子だよ。ほんとに。
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