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放課後まで詩乃とは話をしなかった。
友達の桜木リコが声を掛けてきて、ねえねえ、新しい話聞いて、とかいう。
「なに?また怪談?」
何故かその頃、わたしの周りでは怖い話が流行っていて、その中でもリコはネットで怪談を見るのが趣味とまで言う変態だったので察しはついた。
「やだよーリコの話、めっちゃ怖いんだもん」
「えー、聞いてよー」
「また今度ね、今度」
リコは漫画みたいに口を尖らせてみせたが、リアルにやるとちょっと変だと思う。
「桜木、俺が聞いてやるよ。話してみろよ」
クラスの男子達が寄ってきてリコは振り向いた。
「ほんと?じゃあ話すね」
「あー、待て待て。辰野と小早川も呼ぶから」
そうやってわさわさと人が集まってくる。
なんなのこのブーム。うざいっていうか迷惑だわ。
「あのね、こないだ兄貴の先輩って言う人が話してたんだけどね」
「ああ、友人の友人というやつかよ。それはあやしい話だな」
あまりにブームになりすぎて、その頃には普通の怪談だと思うと、みんな疑ってかかるようになっていた。
わたしはどっちかというと怪談系は苦手で、避けられる時は避けていたから、なんであっても怖いものは怖かった。
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