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「なあ、なんでだと思う?」
「ん?」
もの思いにふける僕に
ジュンがふと不思議そうに尋ねた。
「僕は人の心は覗けるが、実のとこ理解できないことばっかりだ」
「例えば?」
「今回の彼だってそう。満たされている現実と満たされなかった過去を天秤にかけて、現実さえ渇いたものにしてしまう。苦しむのは自分なのに――」
「苦しむのが好きなのさ。マゾだから」
「もう、冗談で言ってるんじゃないよ」
珍しく頭を悩ます魔法使い。
「ああ、ごめんごめん」
僕は裸のまま隣に並んで
半分になった煙草を指先から奪った。
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