episode165 欲望と本能と

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「なあ、なんでだと思う?」 「ん?」 もの思いにふける僕に ジュンがふと不思議そうに尋ねた。 「僕は人の心は覗けるが、実のとこ理解できないことばっかりだ」 「例えば?」 「今回の彼だってそう。満たされている現実と満たされなかった過去を天秤にかけて、現実さえ渇いたものにしてしまう。苦しむのは自分なのに――」 「苦しむのが好きなのさ。マゾだから」 「もう、冗談で言ってるんじゃないよ」 珍しく頭を悩ます魔法使い。 「ああ、ごめんごめん」 僕は裸のまま隣に並んで 半分になった煙草を指先から奪った。
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