第1章

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ふと、頭に浮かんだ疑問を振り払うように床を拭く。 ただ、俺のはらわたは煮えくり返っていた。 何故?何故、俺だけが罰を受けなければならない? 理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。 そうだよな、俺だけがこんな目に合うのもおかしいもんな。 確かに、俺は今まで、たくさん、悪いことはしてきた。 でも、これでは俺の気持ちが治まらないんでね。 俺は、そう呟くと 倉野の机の中に手を、突っ込んだ。あるはず。前ここにいれたのを見たんだ。 しばらく、探していると手に当たる物があった。 教科書などとは、明らかに質が違う。 柔らかくて、すぐ壊れてしまいそうな倉野の大切な物。 見つけた。誰に言うわけでもなく、そう呟いた俺の顔は不気味な程の笑みを浮かべていた。 倉野の、仲の良かった友達が転校したとき、倉野のお守りにと渡したぬいぐるみ。 それの足を俺は容赦なくもぎ取った。 ビリビリビリ! すごい音がする。 普段の俺だったら絶対にあり得ない行動だ。 悪ガキだったとはいえ、人が大切にしているものを壊す程鬼畜では、なかった。 だが、今の俺は、違う。 ざまあみろ!と言いながら、次々に引きちぎっていく。 楽しくて仕方がなかった。 あぁ、俺はもうサイコパスにでもなってしまったんだろうか? 原型をとどめていないぬいぐるみの前で、そんな事を考えた。 ガラ! ビクッ! 何やってんの...?アンタ? 倉野だった。 必死に、言い訳を探したが口になにかが詰まったようにしゃべれない。 いや、実際詰まっていた。 口には、ぬいぐるみの中に入っていた大量の綿が入っていた。 ヒハフンウァ!コヘウァ!コヘヒウァハンホヘハ、リフウアハッヘ! (違うんだ!これは!これにはちゃんとした、理由があって!) 一言喋るごとに口から綿がこぼれ落ちる。 しかも、それ!私のぬいぐるみ! 手伝ってもらってやっと口から綿が全て取れる。... ...なんという失態をやらかしてしまったんだ。俺は...
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