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ふと、頭に浮かんだ疑問を振り払うように床を拭く。
ただ、俺のはらわたは煮えくり返っていた。
何故?何故、俺だけが罰を受けなければならない?
理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。
そうだよな、俺だけがこんな目に合うのもおかしいもんな。
確かに、俺は今まで、たくさん、悪いことはしてきた。
でも、これでは俺の気持ちが治まらないんでね。
俺は、そう呟くと
倉野の机の中に手を、突っ込んだ。あるはず。前ここにいれたのを見たんだ。
しばらく、探していると手に当たる物があった。
教科書などとは、明らかに質が違う。
柔らかくて、すぐ壊れてしまいそうな倉野の大切な物。
見つけた。誰に言うわけでもなく、そう呟いた俺の顔は不気味な程の笑みを浮かべていた。
倉野の、仲の良かった友達が転校したとき、倉野のお守りにと渡したぬいぐるみ。
それの足を俺は容赦なくもぎ取った。
ビリビリビリ!
すごい音がする。
普段の俺だったら絶対にあり得ない行動だ。
悪ガキだったとはいえ、人が大切にしているものを壊す程鬼畜では、なかった。
だが、今の俺は、違う。
ざまあみろ!と言いながら、次々に引きちぎっていく。
楽しくて仕方がなかった。
あぁ、俺はもうサイコパスにでもなってしまったんだろうか?
原型をとどめていないぬいぐるみの前で、そんな事を考えた。
ガラ!
ビクッ!
何やってんの...?アンタ?
倉野だった。
必死に、言い訳を探したが口になにかが詰まったようにしゃべれない。
いや、実際詰まっていた。
口には、ぬいぐるみの中に入っていた大量の綿が入っていた。
ヒハフンウァ!コヘウァ!コヘヒウァハンホヘハ、リフウアハッヘ!
(違うんだ!これは!これにはちゃんとした、理由があって!)
一言喋るごとに口から綿がこぼれ落ちる。
しかも、それ!私のぬいぐるみ!
手伝ってもらってやっと口から綿が全て取れる。...
...なんという失態をやらかしてしまったんだ。俺は...
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