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――入学式の舞台に炎が出現したころ、ヴァイズ魔法学校の西側にある寮の部屋の一つに、一人の少女が佇んでいた。
部屋は明かりを灯しておらず、光は窓からの太陽光だけだが十分に明るい。少女の髪は暗い茶色で長く、後ろで束ねてポニーテールにしている。また、表情は凜としていて、落ち着いている。
すらりとした長身の彼女は窓の方を向いて、微笑んだ。
窓からは入学式の開かれている玄関広場が見える。舞台で燃えていた炎が凍っていく。
だが、彼女は式場の後方、校門のあたりを向いていた。
「やっと・・・会いに行こうかな」
そうつぶやいて近くに掛けてあった茶色いマントを羽織ると、彼女は部屋を出て行った。
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