おいでまっせアイルランド

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「うにぁー!…長かった。肩バキバキ。」 オランダまで約10時間、そこから空港で4時間待たされさらに5時間。 飛行機なんて高校の修学旅行でマレーシアに行って以来だったからなのか、オランダ、アムステルダムの空港はすごかった。 いや、あれが噂のハブ空港って奴か。 とにかくデカかった。 免税店がずらーっと軒を並べて、ブランド品の店が立ち並んでいて、香水の匂いで鼻がおかしくなりそうだった。 「そりゃ、飛行機のカタログの宝石のページガン見して、免税店でもキラキラしたものに一々足を止めてしてたら肩くらい痛くなるな。」 「そ、そこは本能みたいなものなんですから、大目にみてくださいよ!」 「どうしてそんな所だけカラスなのか。」 やれやれと両手を広げて首を振る冬足さん。 自分だって金属探知機引っかかってたじゃん、二回も。 「その辺のゴミ箱を漁りだしたら俺はお前の身ぐるみ剥いで一文無しのパスポートなしで警察前に放り出すからな。」 それって変態だけじゃなくて不法滞在付かないか? それより、それ犯罪…。 「確かに、カラスごときに俺の手を汚すまでもないか。よし、有り金巻き上げるだけで勘弁してやろう。」 だから、それも犯罪。 って思っているうちにさっさと入国審査の列に並んでアーーッと言う間に冬足さんは入国してしまった。 さて、ここで俺はいまさらながら重要なことに気が付いた。いや、どうして今まで、この十何時間のフライトに渡航が決まってからの何日かに気が付かなかったのか本当に不思議になることではあるが。 ええい、声にも出さずに悶々としたところで解決しない。 はっきり認めよう。 俺の英語で入稿審査を突破できる気がしない。 これまでの来歴を離そう。小学生、A~Zを覚えるのに苦労した。特にNM なのかMNなのかはいまだに怪しい所がある。 中学校、三人称単数形は言うまでもなく。 高校、センター試験模試で担任の先生から「英語だけ何とかしなさい。他はほっと言うても大丈夫なレベルではあるから。」と言わせてしまった。 そして現在、大学の英語の授業(必須)でアメリカ人の陽気な先生に「ケイの英語は英語じゃないよ、RとLの発音とかTHのレベルじゃないよ!」 と言われる始末。 てか、こんなことなら海外に行くことなんてない、俺は日本から出ないんだ!なんて引きこもり発言しなきゃよかった。
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